2012/09
動物たちとの共存

今年の夏は特別に暑かったようで、農作物にも被害が出ているとニュースで知らせていました。強い日差しで葉っぱが焦げたようになってしまったのだそうです。

 

ここ八ヶ岳ではそんなこともなく実り豊かな初秋を迎えています。

畑に実ったトウモロコシがあまりに魅力的だったのか八ヶ岳では絶滅したと言われていたツキノワグマが何度か目撃されるようになりました。

人が育てたのか自然に育ったのかクマには区別がつきません。たくさん実をつけたトウモロコシ畑は、クマの目にはきっと素晴らしい天国のように映ったにちがいありません。あちこちで食傷が見つかっているそうです。

クマはとても臆病な動物で、わざわざ人がいるようなところにはやってきません。ですから、ベア・ベルというのを腰につけてそれをチリンチリンと鳴らしながら散歩します。人がいると分かるとクマはそっと気づかれないように森に姿を消してしまいます。

 

たまに人が襲われるのは、不意に出会ったためにクマもパニックになってしまうからです。

恐怖がその原因です。

だから、ここではクマに出会ったら、静かに視線を合わせたまま少しずつゆっくり後ずさりするように指導されています。

 

ここに住むようになって、何がいちばん素敵な体験だったかというと、我が家の庭にやってくる野生動物たちの姿を身近に見ることができることです。キツネやシカやリス。タヌキもやってきます。

食事の残り物や硬くなったパンなどをベランダに出しておくと、はじめの頃はキツネがやってきました。夕暮れ時、かならず我が家の庭を通っていくのですが、美しい褐色の毛並みにしっぽの先が白い見事なキツネでした。キツネは警戒心がとても強いのですが、だんだん慣れてきて、次の春には小さな子ギツネを連れてやってくるようになりました。

子ギツネもだんだん大きくなり、やがてお母さんになりました。そして今年の春には双子が生まれたらしくその子たちを連れてやってくるようになりました。

 

ところが、このクマ騒動で野生の動物に餌付けするのは危険だということになり、キツネにもパンが上げられなくなりました。もともと野生動物にそのような行為をすることには批判があることは私もよく知っています。しかし、ここまで人間が深く森や山に入り込んでしまい、開墾されたり家が建ったりしてしまうと、彼らの餌場はどんどん少なくなっていきます。

数年前まで冬のさなか、東京から深夜、我が家に戻ってくるとキツネたちが雪で真っ白になった道路の脇にじっと座ってこちらを見ている姿を何度か見かけました。

まるで「お帰り」とでもいうように。

それを見て私もまたとても感動したのですが、今ではそんな姿はほとんど見かけなくなりました。

 

森に住むようになって、動物たちと共存することがどんなに難しいか考えてしまいます。何が正しくて、どうしたら彼らの邪魔をせず暮していけるのか、いまだに答えは見つかりません。ただただ申し訳ないような気持ちでいます。

2012/09/05 高瀬千図拝

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