内なる島ワタリガラスの贈りもの

著者:リチャード・ネルソン
翻訳:星川淳 出版社:めるくまーる
 

リチャード・ネルソンはアメリカ、ウィスコンシン大学で教鞭をとる人類学者です。若いとき訪れたアラスカの自然とそこの先住民の暮らしに魅せられ、今もアラスカに住んでいるとのこと。

星川氏の翻訳もみごとですし、そこにまたすばらしい星野道夫さんの写真が彩りを添えています。
 

八ヶ岳に住むようになって8年目(2013年時点)、標高の高い我が家はもっとも寒い日には氷点下18度になります。

雪の朝は上ったばかりの太陽が雪化粧をした森の木々を黄金に輝かせ、気温が上がらないまま雪はさらさらと風に舞い、ストーブで暖まった屋根の雪は溶けて長いツララになります。

あまりに美しいのでひとりで見ているのが惜しくなりますが、アラスカの風景はさらに想像を絶する厳しさと美しさを持つことが、ネルソンの見事な筆致で描き出されます。
 

アラスカの自然を描写するその文体は繊細でダイナミック。都会の生活に疲れを感じたときなど、すばらしいエネルギーのシャワーを浴びることができる、一度は読んでいただきたいすばらしい本です。
 

この本については、2011/02 心の一冊『内なる島―ワタリガラスの贈りもの』でも紹介しています。