著者:テレンス・リアル
翻訳:吉田まりえ 出版社:講談社
テレンス・リアルはアメリカのセラピストです。彼が実際に扱ったクライアントの症例を上げながら、男性の鬱病(隠れ鬱を含めて)がいかにその人生を混乱させているか、そして家族との断絶を生み、孤独にしているかを明らかにしてくれます。
しかも、この国では年間3万人以上が自殺しています。尋常な数ではありません。自殺者のほとんどは四十代から五十代の男性。理由のほとんどは経済的なこと、失職や解雇、倒産などが自殺の直接的な原因だと言われています。
しかし、同じ状況でもみんながみんな自殺するわけではありません。生き抜く人もいます。
しかし、死ぬほど心が疲れ果てた人にむかって
「死ぬ気になればなんでもやれる」
などというのは、やはり無責任としか言いようがありません。
男性達の心になにが起きているのか、よくよく考えてみる必要があります。長い間、何代にもわたって感情を抑圧してきたため、自分が何を感じているのかさえ分からなくなった男性は少なくありません。
実際、近代は兵士を育てるために男性に感情の抑圧を課しました。
そのことがいかに鬱病の発症に繋がるか、そして男性、男の子に期待される強い男性像がいかに彼らの心を傷つけているか、実際の症例を上げながら分かりやすく解説してくれます。
実は本人も気づかないうちに鬱病を発症していることが多々あります。『隠れ鬱』と呼ばれる鬱病予備軍です。その数はどれほどになるのか想像もつきません。
人間関係を豊かにできない、コミュニケーションの仕方がよく分からない人には必読の本です。自分の心の状態をチェックするのにも役立ちます。とにかく目からウロコの一冊です。
I Don’t Want to Talk About It: Overcoming the Secret Legacy of Male Depression (English Edition)