あこがれ

私は一本の草の葉にあこがれる
露をひとしずくのせて あやうく揺れこぼれそうで
微笑すらこらえて私は身動きもできず

音もなく 朝日が霧のなかに浮かび出て
こらえていた歓喜が喉元で震える
いけない 露のしずくを落としてしまいそう

土から立ち昇る霧のシフォン その香り
私は至福の時に身をゆだねる
おねがい 時よ このまま止まって

この一瞬を惜しんで 私は目を閉じる
ひとり 体を抱いて揺する
かすかにヒヤシンスの香り

朝霧(朝靄)の木立
※この光は太陽の光ではなく、どこからともなく差してきた不思議な光です。撮影:高瀬千図

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