ヨブへの答え

著者:ユング
出版社:みすず書房
 

神とは何か?
これは旧約聖書にある『ヨブ記』についてのユング自身の見解ともいうべき本です。

旧約聖書のなかの『ヨブ記』は私にはいちばんなじみのある章で、若いときから繰り返し読みました。ヨブは極めつき善良な人です。それが好きでした。
 

徳の人ヨブ。
誰にでも親切で思いやりがあり、村人から慕われ、家族を大事にしていた働き者のヨブ。秋には豊かな収穫にも恵まれ、家畜もまるまると太っていてすべてに恵まれ、ヨブは愛する家族とともに日々幸福に暮らしていました。そして、ヨブは朝夕神に祈り、つねに感謝することを忘れませんでした。

そんなヨブを見て全知全能の神ヤーウェは満足でした。いくら豊かになっても多くの村人に尊敬されても、ヨブは謙虚さを忘れず、神への祈りと感謝を忘れませんでしたから。

しかし、あるとき神ヤーウェに悪魔はささやきました。

「あのようにあなたを敬うのはすべてに恵まれて幸福だからですよ。もし、厄災や病など不幸に見舞われたらきっとあなたを恨むにちがいない。ヨブの信仰が果たしてほんものかどうか試してみたらいかがですか」と。

神は悪魔のささやきに乗せられて、次々にヨブに試練を与え始めます。家畜を疫病で全滅させ、家族を病で死なせ、よからぬ噂をばらまいて村人から離反させ・・・。やがてヨブは孤独で貧しくなり、ついに重い病から盲目となって荒野をさまよいます。

しかし、いかに悲惨な目に会わされてもヨブは決して神を恨むことをしませんでした。神の存在すらも疑いませんでした。

それはなぜか?
 

その疑問にユングが鮮やかに答えてくれています。胸のすくような結末が待っています。

私にとって座右の書のひとつです。

この本については 2014/01 神は存在するか? でも紹介しています。