新年あけましておめでとうございます。
2014年が幕を開けました。どんな年になるのか、それぞれにさまざまな思いを巡らせていらっしゃることと思います。ことに異常気象や天変地異は気になるところです。
ときに、あまりの苦難に出会うと、人は「この世には神も仏もない」などと思ってしまいます。
しかし、ユングは『ヨブへの答え』という本の中で「神は存在するか」という永遠の問いについて、旧約聖書に登場するヨブをとおして『神』は現象に振り回されて生きる人間が造りだした概念にすぎないという結論を導き出しています。
かの天才物理学者ホーキング博士もまた同様の問いに「すべて(神)は単に起きること」にすぎない宇宙の現象であり、運動の法則だと語っています。
・・・ということは、『神』とは人間の心が生み出したもの、ゆえにその『神』は人の心の内に棲むということになります。
この宇宙の最大の奇跡は『命』が存在すること、そして人が意識と認識する能力を持ったことかもしれません。
どんな年になるにしても自分自身がそれをどう捉え、どう生きるかという問題に帰結する、ということになります。
20年以上前に私はインドのある瞑想法を修得し、今も続けています。パタンジャリの瞑想法のひとつでスートラを使います。
スートラとは「意味を持つ言葉」ということ、『意味のある言葉』とは私たちの『想念』ということになります。
想念がどれほど私たちの脳や身体に影響を及ぼしているか、この瞑想を続けていると瞬時に知覚できるようになります。瞑想にかぎらず、実はそのときの想念によって誰の脳も心身も確実に反応しているのですが、通常私たちはそのことに気づきません。
今では否定的想念が健康を蝕むことはよく知られています。ゆえに人は喜びのなかでしか進化できない生き物だとも言われます。喜びといってももちろん快楽のことではなく、ここでは
《すべてのものへの絶対的な信頼の中で互いに分かち合うことのできる幸福》
と言えるかと思います。
しかし、現実の問題に振り回され、天変地異を恐れている状態では、なかなかこの喜びを生きることはできません。
しかし、不安になるたびに、現実の問題に悩むたびに、外部に答えを求めて捜し歩いても、ほんとうの答えなど見つかるはずもなく、解決もしません。
すべてを知る『神』はそれぞれの内にあり、顕現する時を待っているというのが真実だからです。
10年近く前に出会った一冊の本があります。葦原瑞穂著『黎明』(太陽出版)です。
私にとっては座右の書。
この本を読んでいると、つねに深い共感性の中で私は名状しがたい至福感に包まれます。心が無条件の喜びに満たされるのです。この本が著者の言う普遍意識から書かれているからでしょう。
真理とは、普遍意識とは、真の知性とはいったいどのようなことなのか、この著書はそれを明らかにすると同時に私たちの気づきをも促してくれます。
初版は2001年。今もなお読まれつづけ、共感する人々の輪は広がり続けています。まだ読んでいない方、ずっと以前に読んだという方、もう一度この著書を手に取ることをお勧めします。
深い共感性のなかで、心が軽やかに光の中を舞うような喜びの体験をされることと思います。そしてそれこそがまさに私たちの本性なのです。
今年が皆様にとってすばらしい一年となりますように、心からお祈りいたしております。
2014/1/6 高瀬千図拝