ここ八ヶ岳も長かった冬がようやく終わり、今はいろいろな花が咲き乱れています。いつもならコブシがまず咲き始め、それからレンギョウ、そのあとに桜が咲き始めるのですが、寒さが続いたせいか、今年はそれらの花がいっせいに開花しました。
我が家の庭もようやく緑、でも桜はまだつぼみのままです。毎年、寒さの質が違うので植え込んだ花木が冬を越せたかどうか心配になります。石楠花はむずかしく、雪には耐えても雨が凍りついたりすると芽も枝もすっかり枯れてしまいます。
何が生き残っていくのか数年経たなくては分かりません。今年も忘れな草は雪にも氷にも負けずにしっかりと冬を越しました。こんな小さな草にどんな力が宿っているのだろうといつも感動させられます。今もどんどん広がってつぼみをたくさんつけています。5月半ばにはヤマボウシの周りをその可憐な花で青く染めてくれるはずです。
仕事に疲れたときの気分転換は庭いじりか散歩です。先日も主治医に「毎日どうしてるの」と聞かれました。山の中でのひとり暮らしというのはどんなことなのか想像するのがなかなか難しいのかもしれません。「冬の間はどうしてるの」とも聞かれます。
ところが私はとても忙しいのです。毎朝6時前に起きて身支度をして、この頃は密教の行者らしく毎朝一通り経を上げ、印真言の復習をしています。
三年もかかってようやく辿り着いた伝法灌頂。
行を通して宇宙と人とのエネルギーのなんたるかを少々学んだ以上、これを忘れるわけにはいきません。もう一度空海の密教を学び直すことや毎日続けている自分の仕事(書くこと)、ネオ心理学で学ぶ方々のためのテキストの作成、新しいプログラムの開発などやらなくてはならないこと、やりたいことが毎日とてもたくさんあります。
掃除をしたり、台所に立って料理をしたりするのは頭を使いすぎて気がつまったときの気晴らしです。
そこで最近、素晴らしいものを手に入れました。もともと大好きだったアメリカの現代を代表する女流画家ジョージア・オキーフの料理本です。
彼女の絵はものすごいエネルギーに溢れていてもともと好きで仕方がなかっただけにその料理のレシピを手に入れたことはほんとうに子供が玩具を手に入れたみたいにワクワクする出来事でした。ただし、英語版なのでただ今翻訳中。それを実際に作ってみて、写真をやっている友人に撮影してもらうことになっています。
彼女の料理はとてもシンプルですが、いろいろな種類のハーブがたくさん使われています。タラゴンやバジル、パセリ、ディルにロベッジというセリ科の植物。中には手に入らないものもあり、料理の再現には苗を注文したり育てたりすることから始まります。
子羊料理にはタイムとローズマリー、バジルとマスタードリーフは欠かせません。これも今、自分の小さな畑で育てています。5月5日、土用が明けるのを待つ間のワクワク感はなんとも嬉しいものです。
「毎日どうしてるの」と聞かれて答えはいつも同じ。
「いつもとても忙しいのです」
それを聞いて先生は笑っていました。
2012/05/06 高瀬千図拝