2013/08
『命』の持つ知性

八ヶ岳の夏空

この夏は猛暑に襲われたり、局地的な豪雨に見舞われたり、荒れ模様の気配ですが、ここ八ヶ岳では晴れた日にはこの写真のような美しい夏空がのぞきます。

今年の冬は例年になく寒さが厳しかったせいか、今年の八ヶ岳は花がいつにも増して勢いよく咲き誇っていると友人に聞きました。

我が家でも10年目にして初めてライラックが咲き、夏ろうばいもたくさん花を付けました。

自然はほんとうに不思議な力を宿しています。人間はすぐに快不快を口にし、いつも通り問題なく過ごしたいと思うところがあります。常と異なる状況に不平を言い、去年は、とか何年前はどうだったとか比較しては安心しようとしたり、心配したり。

自然を見ていて感動してしまうのは、『命』というものの持つ力です。寒かろうと暑かろうと最大限その命を開花させようとします。開花し、種を結ぶことでその命を再生することができるということを知っているからでしょう。これは『命』というものがもともと持っている知性によります。

 

頭では不変のものなどないと分かっていても、私たちはつい安定を求めてしまいます。先月にも安全でいたいために、失うのが恐くて、たくさんのことにしがみついて生きている話をしましたが、私たちは変化に対してもやはりストレスを感じてしまいます。

変化に対するストレスについて思う時、いつも東日本大震災で大切な家族も家もすべてを失った方々の悲嘆と悲痛を思います。それがどれほどのものであったのか想像するにあまりあります。人にとってこれ以上のストレスはありません。

それでも立ち上がり生きていく、東北の方々のなかに人間の持つ崇高さもまた見せていただきました。

しかし、今もまだ解決できていない問題が山積しています。ほんとうは根本から私たちの考え方、意識を変えなくてはならないのでしょうが、そこは勝手な生き物ですぐに利便性に飛びついてしまいます。代替エネルギーに関しても多くの開発がなされていますが、政治や経済界の利害の問題が壁になってなかなか先に進みません。

ドイツは原子力から自然エネルギーに変換することを早々に決めてしまいましたが、やはり電気代が高騰しています。しかし、ドイツはもともと電気代が非常に安くて、暖房から何から含めても月額一万円程度だったというのですから、高騰といっても日本とは比較になりません。

土地の売買で利益を出してはいけない、という法律もドイツでは戦後すぐに制定されました。土地の高騰でバブルを引き起こし、そして崩壊した日本とは根本からちがっています。経済成長そのものが実態を伴なっているのです。

 

これから何が起きるのか、できれば人間の欲望が引き起こす変化ではなく、質実に生きることを大切にする社会へと変わっていってくれたらと思います。

それには自分自身が変わるしかありません。いたずらに抵抗するのでもなく、流されるのでもない、自分の底を流れている『命』の持つ知性の声に耳を傾ける・・・。その『命』が持つ知性の声を聞くには心が鎮まっていなくてはなりません。

「時にひとりになりなさい。ひとりでいることはとても大切です」
とクリシュナムルティも言っています。

目的や意図を持たず、ただひとりでいる。
そのとき聞こえてくるものは何か。
やってみる価値がありそうです。

2013/08/06 高瀬千図拝

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