2017/01
『今』だけを感じてみる

新年明けましておめでとうございます。

2017年、今年はどんな年になるのでしょう。一白水星が中宮に入ったということは、経済は底を打ち、物質的に困窮することを表しています。物質より精神的な世界の充実を目指す、という意味にもなります。

物質的な満足にはやがて人は飽きてしまいます。いくら物があっても心が空虚だったらどうでしょう。たぶん誰しもひとりぼっちの猜疑心にこりかたまった寂しいお金持ちになどなりたくはないだろうと思います。

それよりわずかな物でも分かち合える友人がいることの方がどれだけ豊かなことか、と私は思います。たまに東京に行くことがあり、溢れかえる物と華やかな外見、賑やかな人々。その喧噪の中で濁った空気と悪臭、騒がしい車の音、電車の中の暗い表情の人々を見ていると一時も早くここを離れて森の家に帰りたくなってしまいます。
 

それでも友人の何人かに聞かれました。「どうしてこんな寂しい森の中にひとりで住んでいられるの」と。たぶんその友人にはこの大地や木々が放つ豊かなエネルギーにこの場所が満ち満ちていることが分からなかったのでしょう。

一度たりとも寂しいとも怖いとも思ったことがないのです。むしろ、この豊かさ、満ち満ちるエネルギー、夜空の輝く星々、その美しさにこの上ない幸福を感じてしまうのです。たまに訪れる鹿の親子、これ見よがしに歩き回る彩り美しい雉の雄、キツネやリス。その姿を見るといつも胸がときめきます。
 

衣食住が足りた今、他に求めるものがあるとすれば心の豊かさ以外にはありません。
 

植物細密画を始めて以来、道ばたの小さな花の一輪に宇宙の奇跡とでも言いたくなる精密な構造と彩りに気を止めるようになりました。
 

豊かさとは実は外にはなく、それを感じ取る人の心にあります。
 

そこで、たった一日でもいい、明日のことを思い煩わず、過去を手放し、『今』だけを感じてみるという実験をしてみてはいかがでしょう。今日、昇った太陽を当たり前のことだと思わず、温かな冬の日差しの中を飛ぶ鳥のように、ただ飛び、飛ぶことを喜ぶ、そんなふうに『今』だけを感じてみるのです。

何を言っているの?とお思いかもしれません。でももし、『今』をしっかりと感じて生きていられたら、すくなくとも私たちは心的エネルギーを無駄に消耗することはありません。

それも難しくはありません。たった10分でいいのです。目を閉じてただ鼻から入っては出て行く呼吸を感じてみる、それだけで様々なストレスから解放されます。眠れない夜もただ呼吸に意識を向けて感じているといつの間にか眠ってしまいます。試してみてください。

どうぞ皆さまにとって今年1年、一日一日が新しい発見と喜びに満ちた日々となりますように。

2017/01/06 高瀬千図拝

 

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