春が待ち遠しくなる季節です。ところどころ雪の中からフキノトウが芽を出し、モクレンは銀色の蕾をふくらませ、水仙が芽を出し、何を見ても心ときめく季節の到来を感じます。
雪の後は空気が澄み渡り、星はますます鋭い輝きを放ちます。
オリオンが南の空に上り、その右手上にプレアデス星団。
日本の古典文学をたまに読んでいると、たとえば浦島太郎の竜宮城へ行った話の中に、その竜宮城の主である姫は「我はすばる星の者にて・・・」というくだりがあります。昴星というのはプレアデス星団の中の星のひとつです。
つまり亀(宇宙人?)を助けた浦島太郎はそのお礼にとプレアデスのどれかの星に招待されたということになります。そこでほんの数ヶ月、楽しく過ごしたあと我が家に戻ってみると、すでに百年余りが過ぎていたという。
地球とは異なる時間を過ごしたのか、時空間を超えていったのか分かりませんが、そんな話になっています。
浦島伝説は実は各地にあって、先年亡くなった葦原瑞穂氏はプレアデスの人々が最初に降り立ったのが富山だったと話してくれました。
能もまた能登半島が発祥の地、能村というのがあり、それが現代の狂言方・野村家の始まりという説もあり、観世をはじめ彼らはもともとは秦族で渡来系であり、観阿弥や世阿弥の先祖といわれています。
人種差別で苦しむアメリカを見ていると人はなぜこうも偏見に捕らわれているのかと思います。日本でも人種偏見は根強く、ヘイトスピーチが行われたりしています。在日の人々に聞くに堪えない罵声を浴びせ、中には「お前らはみんな死ね」とマイクで叫ぶ者もいました。
何を根拠にこの人たちはこうも憎悪をたぎらせるのか、私には想像もつきません。ただ言えるのは彼らが誠に無知で、教養も品性も無い人々であるということです。
日本列島の先住民はアイヌであることが国会でも正式に承認されました。彼ら以外の私たちはいずれにしてもかつてどこからかやってきた新参者か侵略者だったということになります。
しかし、渡来系の人々を技能集団として迎え、知識や技術を進化させ、婚姻関係を結び、これを天皇家も非常に大切にしました。
桑を育て蚕から繭を造り、絹織物にする技術を伝えたのは結城紬で有名な結城一族です。初めは四国に土地を与えられたのですが、後に結城に移動させられ、地名の結城を名乗るようになりました。
つまりこの国ができる過程で、ほんのその初期にこれほど混血が進んだ国は日本以外にはないということ。争いを避け、互いの文化を分かち合うことで技術を進化させ、洗練させていった国なのです。
しかも二千年以上、一国家としてあり続けた国は日本以外にはありません。それは喜んで他国の人々、または他民族とその文化を受けて入れてきた結果です。中央アジアで生まれた両面太鼓は韓国でチャンゴになり、日本に渡ってきて鼓になりました。
人は集団で動き、アジアから北アメリカへ、そして南アメリカへと移動しながら独自の文化を創ってきました。
今さら人種差別など、あまりにばかげた話です。それは単に時期の問題に過ぎず、私たちがもともと多国籍的混血であることをみとめてこそ、人種差別はなくなるのではないかと思います。
2017/02/06 高瀬千図拝
お互いを尊重し、お互いに人としての本質を見ることができれば人種差別などあり得ないことだと気付くだろうに。本当に馬鹿げていますね。