2018/04/19
糸川英夫先生のこと

冬の晴れ間

平成30年4月某日
糸川英夫先生のこと。面白い方だった。

能のことでお会いしてから、誘われて先生のクラスに出た。東大ではなくて、先生は都内某所でセミナーを開かれていた。自由に発言できる雰囲気で、何度か通った。

そのクラスで先生はエネルギー政策の話をされた。
石油なんかとれなくても何にも怖くないとのこと。イスラエルの某大学では水を使って永久的にエネルギーを取り出す技術が開発されたとのことだった。

水はH2O。水素が燃えた結果。
で、酸素と水素を分離し、それを安定的に分離しておく触媒さえ見つかれば、永遠にエネルギーは生み出されるという。しかも炭酸ガスをいっさい出さない。水素が燃えるだけ。燃えた結果はただの水。究極のエコ的自然エネルギー。設備投資とメンテナンスにはとうぜん費用がかかるが、総延長10キロのパイプがあればいいという。

イスラエルはその技術を開発し、糸川先生に直接、いつでもその触媒と発電の技術を日本に提供してもいいと言ってくれたという。先生は喜んで政府の要人に伝えたが、断られたと言っておられた。

その時、私は気づいた。
つまりエネルギー問題はエコとか省エネの話ではなく、石油を買わざるを得ないという経済関係の話なのだと。その時以来、糸川先生はたぶん少々危険な人物にされたのではないかと心配になった。石油マフィアというのがいるのではないかと、今も疑っている。

原子力がなくても電気は間に合う。地熱エネルギーの発電技術は日本がトップ。アイスランドに輸出している。でも、日本にはない。
 

糸川先生はいつも陽気で、60歳を過ぎて、踊りのバレエなんぞ始めたりなさっていた。舞台にも立たれて話題になった。

なんとも学者らしくもない本物の学者だったと思う。御用学者にはならない勇気のある、とても素敵な方だった。
 

2018/04/19 高瀬千図

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA