平成30年4月某日
また食べる話。30年前のある日、父が上京してきた。とにかくグルメで料理もできる人だった。父の新作の味見役はいつも私。私が美味しいと言うかどうかが父の判定基準になっていた。
その父を感心させたくて考えた鍋がある。冬のごちそう。
生で食べられる
①鍋の出汁は昆布でとる。面倒なら顆粒の昆布出汁を使う。そこに、料理酒と塩ひとつまみ。
②ポン酢でいただく。薬味は紅葉おろしとアサツキ、またはサラダネギの小口切り。
③蠣と白子をしゃぶしゃぶで食べ終わったら、ご飯を入れてさっくり煮て、そこに三つ葉を刻んだものをたっぷり入れていただく。
「どう?」と私が聞いたら、父は満面の笑みを浮かべ、天井を見て「これはうますぎるなあ」と言った。
ある日、友達が実家から届いたというハマグリをどっさり持って遊びに来た。そこでそんなたくさんの立派なハマグリを四人で3キロも食べるにはどうしたらいいか考えた。3キロにはもちろん殻の重さも入っている。
これはしゃぶしゃぶに限る~、と思いついた。四人で3キロのハマグリをしゃぶしゃぶで、口が開いたとたんにいただく。絶品。3キロ、瞬く間に完食した。
2018/04/25 高瀬千図