平成30年4月某日
急に暑くなった。日差しはまるで残暑の西日みたいに気持ち悪い。標高1250mのここでこの暑さは異常。外に出ると、もう額が焦げそうで頭痛がしてくる。なんだこの日差しは・・・、と空をにらみつける。
その前日の朝は暖房が必要なくらい冷え込んだ。外に出したオリーブの枝葉が霜にやられてうなだれていた。
大山桜は土曜と日曜に満開。月曜には突風でみんな散ってしまった。御殿場桜はまだ木にしがみつくように咲いている。ありがとう、頑張ってくださいと心の中で言う。
我が家の庭には、毎朝、きまってやってくるツグミの夫婦がいる。雄は翼が黒、お腹が白くて黒の小さな水玉模様。粋なスタイルの鳥で、滅多に撮影などできないと、バード・ウォッチャーから聞いたことがある。
でも、待っていれば、毎朝、ツグミは夫婦でやってくるし、とんでもなく美しい声で歌う。歌うときは木のてっぺん。森中に妙なる音楽が響く。
異常な寒暖差のせいかどうか・・・。
突然、南側のガラス戸にドスンという鈍い音がした。
あわてて見に行ったら、案の定、黒ツグミがベランダで気絶していた。サン・キャッチャーをぶらさげていても、たまに慌て者の小鳥がぶつかることがある。
ベランダに出て行って、怪我はないか、翼は折れていないか、くちばしは? 首は? と調べたが傷らしいものはなかった。
こんなときはそっとしておくのが一番いい。ただ、気絶しているだけだから。
見ていると、ふっと気がついて、さっと立った。
しかし、立ったまんま、ボーッとしている。
まだ脳震とうから回復していないらしい。
部屋の中から見張っていたら、白いウンチをした。
そして一時間後、ツグミは飛び立った。
翌朝、いつものように落ち葉の中の虫を突いているツグミの夫婦がいた。粋なスタイルの雄はいつものように元気に虫を突きながら走り回っている。
心底、ほっとした。
その前はアトリ。これもガラスにぶつかって、気絶。しばらくはボーッとしていたが、一時間後に飛び立った。
サン・キャッチャーをいくつもぶら下げているが、鳥も何かの事情でミスをするらしい。事故を防ぐにはどうしたものか。知恵のある方は教えてください。
そもそもこんな山の中に人が住むこと自体がおかしいのだ、と本質的な、身も蓋もないご意見はご遠慮します。
2018/04/28 高瀬千図