2018/06/06
心の鍛錬法

白い花

今ここは、一年でいちばん心地よい季節を迎えています。森はたくさんの緑、風はとてもさわやかでいい香りがします。日頃は厄介者のカラマツが今は目の覚めるような鮮やかな緑になり、こんなにも美しい緑色があったのかと思うほどです。

写真の花は四、五年前に突然、庭のひとすみに姿を見せた野草、今も名前が分かりません。花自体は3㎝くらい、株がいつの間にかだんだん増えて三株くらいになりました。清楚で可憐な花です。

ウドも生えてきました。家を建ててから18年、新たに芽生えた植物の姿にいつどこから来たのかと驚きます。
 

以前、都会に住んでいた頃は、森は豊かで土もさぞかしいいにちがいないと思いこんでいました。

しかし、意に反して、針葉樹が多い森の土はとても痩せていました。酸性の強い土壌なので、白いバラもピンクになってしまい、その上、何をどれだけ植えても育たず、自分のやり方が悪いのかとずいぶん悩みました。消えていった植物の数は10種類以上になります。

どうやら土が痩せすぎているせいではないかと気づいて、土壌改良を始めたのはずいぶん前のことです。今年の春、ようやく植物が豊かに育つ土壌環境になりました。手当てをすればするほど、植物は正直に応えてくれます。

ガーデナーの友人に教えてもらい、最初はケイ素を与えるためにソフト・シリカというのをたくさん撒きました。ケイ素は地球上の生物すべてに備わっているミトコンドリアの栄養です。その後は酸素を与えるために薫炭くんたん、微生物の栄養源に鶏糞や牛糞、腐葉土と、どれだけ与え続けたか記憶も定かではありません。

ただ、その甲斐あって、今年はとくに庭の花木も元気に芽吹き、大手まりや桜、そして今はヤマボウシが白い花を枝一杯につけています。他にはバラ、ギボウシ、マーガレット、スミレ、忘れな草、ルピナス、その他もろもろ。花木もカルミヤ、紫陽花、夏ロウバイと多様です。氷点下18度にもなる冬の寒さをものともせず、毎年美しい花をつけるようになりました。
 

根気が必要というのは何事にも言えることですが、植物の成長は目に見えるようになるまでとても長い時間がかかります。時には何年も。その目に見えない成長を見守り、生きてくれることを信じて世話を続ける・・・。なんとなく子育てに似ているなあ、と思います。

植物を育てることは、気の短い私にはとても心の鍛錬になります。手を尽くして、ただ待つしかない、からです。そしてある日、気がつくと1mにも満たなかった木が見上げるような大木になっていたりします。常に成長を続けている木、目に見えないだけにある日突然、その成長した姿に驚くのです。

もともと私は何かを『育てる』ことが好きな性分ではありますが、すぐに結果を知りたがるどこか短気なところが欠点です。でも、植物のお陰でまた少し忍耐強くなった気がしています。
 

2018/06/06 高瀬千図拝

 

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